フロータントの在り方と使い方の考察
このフロータントの最大の魅力である長時間効果。それを英語にするとLong-lasting effect (ロングラスティングエフェクト)となるらしい。
当初は無印として販売する予定だったが、買う人がなんと表現したら良いのか?と言った問い合わせ等もあったということから、Long-lasting effect の頭文字を取って、L.L.Eフロータントと呼ぶ事に致しました。

L.L.Eフロータントを発売するにあたり、色々とテストしてまいりました。正直今までこれ程までにフロータントのことを考えて釣った事が無かったが、今回を切っ掛けに、正しいフロータントの使い方や、フロータントに関しての知識を改めて知る事ができたと自負しております。
L.L.Eフロータントは現在、発売に向けて着々と準備を進めていますが、その発売を目前に皆様には、今一度このフロータントの正しい使い方と、フロータントの役目的メカニズムをお伝えしたいと思います。

写真はイメージです。
「フロータントとはいえ浮力材にあらず」
フロータント、フロータントと世間ではドライフライに何らかの形で塗布して使う液剤全てをそう呼んでいます。
このフロータントと言命名の為、浮力材と思っている人も多いのでは無いかと感じています。
ドブ漬けするタイプや、グリースタイプ、そしてペーストタイプとシリコンやテフロンのスプレー式もそうであるが、これらは皆浮力材ではありません。
現在市販されていますフロータントで浮力剤としてその効果があるのは、パウダータイプだけです。
つまり、先に述べたフロータントは正確に言うと撥水剤という事です。
浮かす物ではなく、水を弾く物なのです。
パウダー以外浮力剤では無いのだから、浮力を増すことは無いのは明らかです。つまり本来フライそのものの持つ浮力以上の効果は得られないという事で、それを得たいのであれば、パウダータイプを使うべきという事となる。
一方撥水剤の効果とは、水を弾きまたそれの侵入を防ぐ役目をするもので、それを塗布する事で、バリバリに表面張力が効いた状態になったフライは水面に高く浮きます。
その様子を見ると誰でも浮力がアップしていると勘違いしてしまう。つまりそれが浮力剤と解釈してしまうのでは無いかと思うのです。
水の侵入をブロックする撥水剤を、正しくその効果を得るならば、やはりフライそのものが浮力に富んだパターンを選択するのが、最も好ましいと考えます。
いくら強力な撥水効果があるフロータントでも、フライそのものの浮力が乏しいと、あまり意味がなくなるのかもしれない。

写真はイメージです。
「付けすぎ注意」
撥水剤と最初から分かっていれば、無下に沢山塗布してもしょうがない事は一目瞭然。しかし、浮力剤と間違った思い込みだと、沢山塗布すればもっと浮く!と思うのは当たり前である。
その結果、浮くどころか沈んでしまった…なんて経験をした方も多いはず。
それは、撥水剤を沢山吸い込んだフライは、重たくなって沈んでしまうなんて夢にも思わなかった…という事である。
撥水剤の正しい使い方は、先ず付けすぎない事である。
極少量の液剤をフライに塗布し、その後指先でフライ全体に馴染ませる。この程度で十分、と言うよりそれ以上塗布しても逆効果という事です。
この手のフロータントには、ディッピングタイプというものがある。ボトルに入った液にフライを漬けるあれです。
液にダイブさせたフライは、繊維の隅々まで液が染み込み、ボトルから引っ張り出したフライは、一風呂浴びた状態となって出てきます。この状態は撥水剤なのに着け過ぎという事になるのだが、あれは揮発性の高い液剤とシリコンないしはテフロンを混ぜたもので、強く息を吹きかけたり、フォルスキャストをする事で、余計な液剤は揮発し、撥水剤だけがフライ全体に薄く付着した状態になるというもので、指で馴染ませたフライと基本的に同じになるように出来ています。

写真はイメージです。
「 フロータントの宿命とは持続時間である」
ドライフライを多用して釣っている方のほぼ100%の方は、何らかのフロータントを使っていると思います。つまりフロータントなしでドライフライをしている方は皆無だと言っても過言では無いのでは。
最近のフロータントはその性能も優れていて、大変優等生が多いのも事実である。
私も今回発売するフロータントに出会うまでは、何の疑いも持たず様々な物を使ってきました。
浮力が落ちれば塗り、落ちれば塗ると言った具合に、1日釣りをしていると、一体何回フロータントしたのだろう?
勿論その繰り返しは、当たり前のことであった為、何回なんて数えた事など、40年以上フライフィッシングをやっていて、一度もない。
しかしこのフロータントは、今までの常識を良い意味で裏切ってくれました。
使って頂ければ一目瞭然だと思うが、その効果の持続性には何度使っていても驚かされます。
簡単に言えばこういう事です。
薄く塗布する撥水剤は、フライ全体に満遍なく付着し、水の侵入する隙間を作りません。とここまではどんな物でも同じです。問題はここからです。付着した撥水剤は、マテリアルの繊維一本一本に強力に纏わりつき、長い時間剥がれることがないという性格を持った液剤に出会ったと言う事です。
優れたフロータントは数多ありますが、現代において浮くのは当たり前。問題は、その浮力がいつまで持続するか、つまり効果の持続性が長ければ長い、言い換えれば、長時間効果こそがフロータントの宿命と言えるのではないだろうか。

写真はイメージです。
「ベト付かないサラサラ感」
ここから綴る全ては、今回発売のL.L.Eフロータントに関しての記述となります。
このフロータントは、大変良質のシリコンから出来ています。
一言でシリコンと言っても、その種類は無限大で、たまたま優れた物に出会えたのは、正に運が良かったとしか言いようがありません。
長時間効果が最大の売りですが、他に優れたところがもう一つ、それは塗布後暫くすると、フライがサラサラ状態になるという事です。
まるでタイイング仕立てのフライの様に、何も塗っていないかの様にサラサラになってくれ、その状態で撥水効果が長時間持続致します。
ついで効果として、フライに塗布する際、指に着いたフロータントを、ティペットやリーダー、フライライン先端1m程度塗っていただく事で、それらにもフライ同様の撥水効果が生まれ、しかもその効果が持続致します。
特にナイロンリーダーやティペットを使っておられる方にはお勧めです。
ナイロンは吸水する事はご存知だと思います。吸水したナイロンは、沈みが早くなり、ドライフライを長い時間自然に流す妨げになります。言い換えれば、常に沈み難いリーダー使う事は、ドライフライフィッシングにおいて大変強い味方になってくれる事は言うまでも有りません。
リーダーやティペットにグリースタイプのフロータントを塗った時の必ずあるベトベトした物とは違い、撥水効果を残した上に、サラサラしているから、フィールドでは砂や埃が付着しないのも非常に有難いと正直感じました。

写真はイメージです。
「定期的な再フロータント」
長時間効果… では一体どれぐらい長持ちするのか?と皆さんの興味はそこにあるのではないだろうか。
数回のテスト結果によると、真っ新なフライに正しい方法で塗布して様々な流れにフライを流し、大凡ではあるが約1時間近く持続致しました。その間魚は掛けていない状態です。
また、塗布して数分で魚が釣れた場合、魚の大きさや、
口の中でどの様に掛かっているのかにもよりますが、2〜3匹釣った後でも、再フロータントしなくても浮力の衰えは顕著では無かったとテスト結果が出ました。
しかしこれは、塗布してから、1匹釣る迄どれだけ時間が経過したかによっては、1匹釣ったら浮力が落ちたと言うことも十分有り得ますので、あくまでも参考にしてください。
また、長時間効果があるとは言え、ナチュラルドリフトを繰り返した結果の事で、技術に問題のある方でも同じ結果とはなりませんので、付け加えておきます。
幾ら長時間効果といえども、1日釣りをする中、1回の塗布で済むわけはありません。
効果的に撥水効果を得るには、やはり定期的な再フロータントをしなければいけません。
そのタイミングも、テストで結果が出ていますので、案内したいと思います。
先ずフライをティペットに結んで、真新しいフライに塗布します。塗布した直ぐは、ハックルは濡れた様な状態になりますが、数分でサラサラ状態になります。
塗布して直ぐにキャストしても全く問題なく、釣っている間にサラサラ状態になって行きます。
そのなると、ポッカリと水面に乗っかる様に浮いてくれます。
やがて、その浮力も馴染んでくるのか、ポッカリから通常の浮き方へ変わって行きます。でもまだまだ大丈夫です。
ティペットが流れに食われ、軽い流れでも、それに引っ張られたフライが、浮力に負けて沈み始めたら再フロータントのタイミングです。この状態でもまだ、大丈夫ですが、早めの再フロータントをお勧め致します。これは、初回のフロータント処理で完全に水の侵入をブロックしている状態にしているため、その効果が無くなってからだと、水を吸ったフライの上からコーティングする事となるからです。
その場合は、躊躇なく新しいフライにチェンジし、1からやり直し、今まで使っていたフライは、パッチで乾かし、ローテーションする事をお勧め致します。
勿論、再フロータントする度に、ティペットやリーダーにも塗っていただく事をお忘れ無く。

写真はイメージです。
「撥水剤に適したフライパターン」
繰り返しますが、フロータントとは言え、浮力剤にあらず!
撥水剤は、水を弾き飛ばすと言う援護射撃が最も得意と致します。しかしフライそのものに浮力が無いと、その援護射撃も効果は薄れます。
ありとあらゆるフライに効果的と言う触れ込みで販売しているフロータントも沢山あります。あのキャッチコピーは少々疑問に残りますが、弊社フロータントは、使う人の意思には背けませんが、お勧めはハックルがしっかりと巻かれたスタンダードパターンや、パラシュートやソラックスパターンでも浮力を考慮したプロポーションで巻かれたものは全てお使いいただけると思います。
また、浮力の乏しいフライでも、最初にこのフロータントを正しく塗布していただき、サラサラ状態になったら、この上からパウダーを塗布して頂ければ、その効果が無くなっても、その下で撥水効果が持続していますので、再パウダーの効果も高まります。
勿論浮力に富んだパターンでもこの方法をとって頂くことも可能です。
この様に、フロータントの性格を知っていただく事で、自分の使っているフライパターンに適したものを選択でき、その効果の程を最大限に引き出せるのです。

写真はイメージです。
『ラインクリーナーとしての効果』
密着力に優れ、その効果が長続きする利点を生かして、ラインクリーナーとしてもおすすめです。
これも正確にはクリーナーとは言うものの、ラインを綺麗にするものではありません。あくまでも、汚れのない綺麗なラインの上に撥水剤をコーティングするとお考え下さい。
色々テストした結果、一番良かったのは、先ずラインの汚れをシンナーで取ります。シンナーとはホームセンターで手に入るラッカーシンナーです。
小さく折ったティッシュペーパーに少量のシンナーを付けて、ラインを挟み込み出来るだけ強い力で、汚れを取って下さい。シンナーなんて使ったらラインが駄目になるのでは?と想像される方も多いと思いますが、全く大丈夫です。
騙されたと思って一度やってみて下さい。恐らくビックリする程汚れが取れますから。
さて、綺麗になったラインにフロータント液を塗って行きます。この時、出来るだけたっぷりと塗って頂いた方が効果的です。実際にフィールドで使うであろう長さプラスアルファーに塗る事となるわけですが、出来れば2往復程度塗って下さい。塗るタイミングは釣りをする前日がお勧めです。
このフロータントは、あくまでもラインクリーナーとしての販売ではありません。なので市販のシリコンクリーナーに比べて、ツルツルした感じは、やはり専用の物の方がいい様ですが、弊社の物は、しっとりとしたスベスベ感を得られ、フィールドでもこの効果が長持ち致します。1日の釣りの中で、ラインの滑りが悪くなって来たと感じた時点で、また塗って下さい。
以上が、数回に渡りL.L.Eフロータントをテストしてきて、私なりに感じた事です。
新しいフロータントテスト結果報告2

新しいフロータントの2回目のテストへ行った来ました。
1回目で6種類のサンプルを試した結果、刷毛塗りタイプがダントツだった為、今回はこれ1本に絞ってのテストを行いました。
【驚異的な持続性と耐久性】
結論から言うと、本当にいいフロータントに出会えたと実感した1日でした。
このフロータントの最大の魅力は、浮力の持続性が半端なく長い事です。
浮力の持続性が長いと言う事は、都度都度フロータント処理をしなくてもいいと言う事となるわけで、浮力を失ったフライに、フロータント処理するのは、はっきり言って面倒でした。
その面倒な行為が、極端に少なくなる事は、私にとってとても有難い事でした。
と同時に、使い続けていても一向に浮力が落ちない・・
本当にびっくりでした。

面倒と言えば、魚が釣れた後のフライの回復処理は、本当に面倒くさいですよね。
それは釣れる魚の数だけある訳ですが、沢山釣れれば嬉しいので、その面倒くささも大目に見られるわけです。
因みに、私の場合を説明しますとね・・
■魚が釣れました。
■フライに付いた魚のヌルを軽く川の水で洗い流します。
■ビショビショになったフライを、アマドゥーなどで水分を取ります。
■さらに十分乾燥させる為、パウダー状のフロータントでシャカシャカします。
■粉まみれになったフライを、フォルスキャストで飛ばします。
■再びフライを手にして、本来のフロータントを塗布します。
■次の狙ったポイントへキャスト&プレゼンテーション。
と、魚が釣れてから実に6項目の作業を経て、釣りが再開されます。
当然、魚が釣れる度に、この行為が繰り返される訳です。
これはどう考えても、1匹釣ってから次のポイントに投げるまでにしなければいけない事が多過ぎて、面倒臭いの一言に尽きますよね・・でもそれをしないと釣りが成立しないから、しょうがない訳です。

しかし、このフロータントは、釣った後の面倒な6項目が要りません。
つまり、こう言う事です。
■魚が釣れました。
■針を外して川の水でヌルを洗います。
■次の狙ったポイントへキャスト&プレゼンテーション。
これだけで、まだ1匹も釣ってない様な、浮き方でポイントを流れて行きます。
2番目のヌルを洗い流す行為も、ガッツリと飲み込んだ様な時以外、必要ありませんでした。
つまり、こう言う事です。
■魚が釣れました。
■次の狙ったポイントへキャスト&プレゼンテーション。
これだけで、釣りが再開致します。

昨日は台風10号の影響後で、川は最高の水位とコンディションで、結構釣れました。
1つのポイントで立て続けに釣れる事もあって、何匹までケア無しに浮力が持続するかも検証出来ました。
結果的に3匹まではケア無しに釣り続ける事ができました。
しかし、4匹目までに少々時間が掛かり、途中浮力が微妙に落ちて来た(落ちたと言うより、ティペットに引っ張られた時に耐えきれなくなって来た)ので、その時点で再フロータント致しました。
すると、完全にフライはリセットされ、長時間浮力を保ってくれました。
この耐久性には正直驚きました。

【フライ以外にも効果絶大】
粘度の高いこのフロータントは、刷毛塗り、もしくは点眼容器で1滴・・と言う使い方が好ましいと考えています。
サンプルは、刷毛塗りですので、この刷毛を使ったフライへの塗布の仕方をご説明いたします。
まず、刷毛に付いた余分な液剤を瓶の口で簡単にぬぐい取ります。
そして、ハックルに軽く塗ります。この時ハックルだけに塗るのがいい様です。(色々試した結果)
続いて、指先でハックル全体にフロータントを馴染ませます。その時にウイングやボディーにも馴染ませます。
肝心なのは、決して多く付け過ぎ無い事です。多く付けるのは返って逆効果です。
フライ全体にフロータントが馴染んだら、続いてティペット・リーダー・ライン先端約1mほどに指先で塗ります。
この一連の作業が完了したら、ゲームスタートです。
このフロータントの素晴らしいのは、フライだけが耐久性と持続性がある訳ではありません。
ついでに塗った、リーダーやティペットもフライ同様、持続性がある為浮き続けます。
市販のグリースは塗った間なしは良いんだけど、その効果はすぐに無くなるものが多かったんですが、これは違いました。
フライに塗るフロータントもリーダーに塗るフロータントも同じ物で良い訳ですので、フライに塗る時の序でにリーダーにも塗ると言う事で、正に一石二鳥です。
余談ですが、ちょっとした事ですが、フライとリーダーに塗るものが別々だと、これも正直面倒臭かった。。
この件もこのフロータントで解消です。

フライやリーダーが沈む原因は、表面張力が破られるから・・・
勿論、ドラッグによるものもありますが、それは技術不足が手伝っての事ですので、個人差はありますが、フライが沈む理由にはなりますが、原因ではありませんので、触れません。
巻きたての新しいフライをコップに浮かべた場合、暫くは浮いてますが、次第に沈んで行きますよね。
これは、マテリアルが水を少しづつ吸い込み、その重さに耐え切れず沈む訳です。
では、吸水率を0%近くにした場合、水を吸い込ま無い訳ですので、沈む事はありません。
このフロータントは、それに近い効果がある為、1日のドライフライフィッシングが本当に快適です。
リーダーやティペットに塗ったフロータントもその耐久性により撥水効果と言うコーティングが剥がれ難く、頃合いを見て再フロータントする事で、1日中吸水する事無く釣りが出来たしまうのです。
小まめにリーダー等のフロータントを塗って釣りの出来る方は別として、私の様なズボラなフライマンは、その面倒臭さからサボってしまう事常でした。その結果、使うに連れナイロンはどんどん水を吸い、気が付けば後の祭り状態。
と・・今までの話。
40年以上フライをして来て、フロータントひとつで、こんなにドライフライが楽で楽しいものと、改めて気付かされました。
今シーズンはもう少しテストをくる返すつもりですが、実質の販売は来年からとなりそうです。
現在、弊社が開発からテストを繰り返している関係で、ジーニアスオリジナルと銘打って販売というのが一般的だと思います。しかし、このフロータントは、本当に優れたものなので(現在のテスト結果)出来るだけ多くの方に使って頂きたいと思っております。
なので、暫くの間は、ノーブランド(無印フロータント)として販売いたします。
そして、10mlの販売単価を設定し、量り売り販売とさせて頂こうと思っています。
代表者が纏めて購入し、仲間で分けて頂く事も可能です。
また、業販も検討していますので、その時は卸価格設定も致します。
何はともあれ、もう少しこのフロータントの長所を感じる事がで出来るかもしれませんので、テストしてみる事とします。
ラインクリーナーとしても優れていたので、次回はその話を少々。。。

上の写真は3匹目のアマゴを釣った後の状態です。

息を強くひと吹きした状態がこれ!
このままフォルスキャストをして、ポイントにプレゼンテーションしましたが、浮力に変わりありませんでした。
新しいフロータント

この度ジーニアスロッド メーカーでは、新しいフロータントを販売しようと考え、現在その開発とテストを行っております。
数週間前、ある人から連絡が入った。
「新藤さん、フロータントに使えそうな物があるんだけど」
「テストして良かったら、ジーニアスオリジナルブランドでリリースすれば良いんじゃない」
と、この様な有り難いお話を頂いたのです。
それならばと早々その話に乗らせて頂く事に。。。。

(写真はテスト風景の1ショットで、3種類のミストと刷毛を試した時の1シーンです)
という事で、サンプルを送って頂きました。
其々に粘度が違う6種類の液剤(ここではそう表現します)で、その内5種類はミストタイプ。
そして1種類は刷毛付きの容器に入れた塗るタイプの物です。
刷毛付きの理由は、粘度が高過ぎてミスト出来ないからだそうです。
それを持って、早々テストしてまいりました。

見慣れたフィールドも夏休みは別世界です。
下流域では、子供達が大勢水遊びを楽しんでいます。
普段なら僕のフライをナチュラルドリフトするところを、この時期は小さな子供達がナチュラルドリフトしています。
そんな光景を横目に更に上流を目指し、目的地に到着したのは午後4時。
まずチョイスしたフライは、新藤流イエローサリー。サイズは#12でナチュラルカラーのコンドルクイルをボディーとして巻いたもの。それを4Xティペットに結びました。
さて、ここからが本番です。
まず、刷毛塗りタイプのフロータントを試す事に。
少量のフロータントをハックルに塗布し、その後指先でフライ全体になじむ様塗って行きます。
指先に着いたフロータントは、ついでにティペットにも塗りました。
少し粘度がある為、塗った間なしはハックルも濡れ髪の様にくっ付いてますが、フォルスキャストをいつもより少し多めに行う事で、余分な油分が取れるのか、全くサラサラの状態に戻りました。
指に付いたフロータントも、サラサラしてて、特に違和感なくグリップできました。
そしてテストフロータント施したフライを小さなポイントの肩の部分を狙って第1投目キャストです。
フライの浮きは十分です。高く浮く為視認性も抜群でしたし、パウダーの様に色も変わらず、本来のフライの姿のまま使えるのもいい感じです。
1回目、出ない・・・ 2回目、同じコースを流します。
するとそのフライが、落ち込みに吸い込まれかけたとき、アマゴがそのフライを捉えました。
丁度8寸程の綺麗なアマゴでした。
余りの綺麗さに少し見惚れながら写真を撮ってリリース。

と、此処まではよくあるシーン・・ですが、此処からが今回のフロータントの凄さの始まりでした。
外したフック(フライ)をあえてケアせずに、フォルスキャストで水分を飛ばす程度で、次のポイントへ投げてみた。
すると、今までの出来事がまるで無かったかの様に、ポッカリと浮いているではないか!
今まで使ったフロータントでこの様に釣った後でも効果が持続する物はあった。
しかし、これほどまでの浮き方をするフロータントは、長いフライ人生の中でも初めてでした。
立て続けに釣れれば、何匹まで浮力が持続するのかを試せたのですが、残念がら2匹目まで相当時間が掛った為、その実験は叶いませんでした。ただ、1匹目を釣ってから、再フロータントをせずに、相当なポイントを釣り続ける事が出来ました。
これには、もうビックリです。
正確にはどれくらいキャストをしたか覚えてはいませんが、時間にして優に30分以上再フロータント無しで、全く浮力の衰えを感じませんでした。
正直、なんじゃこのフロータント!と何度も何度も連呼してしまうほど、沈まない。。
これは凄い!

そして、もう一つ驚いたのはティペットも同様に沈まない事です。
これは非常に有り難い事で、常用するフライパターンを使うには、太いティペットが不可欠です。
太いティペットは、水流の抵抗もあるため、非常に沈みやすいものです。それを回避する為、ティペットにペースト状のフロータントを塗るのですが、その効果と言えば、ほんのつかの間です。
面倒だからと、フロータントをサボると、どんどん沈みは加速し、釣りにならない事も・・
そうなると、一度水を吸ったナイロンティペットにいくらグリースを塗っても後の祭りです。
ところが・・
今回のテストしているフロータントは、フライ同様沈みませんし、その時間も持続いたします。
ティペットが沈まない事で、フライにドラッグも掛かり難くなり、たとえドラッグが掛かって沈んでしまったフライをピックアップするにも、全く抵抗を感じる事なくピックアップできました。
そして1匹目を釣って約1時間後、7寸弱のアマゴが浅い瀬でヒットしました。
この魚は、正に夏アマゴというに相応しいコンディションで、俗に言う脂が乗っている!焼いて食べるとこの上なく美味い事間違い無しのアマゴでした。
左手でそっと魚を掴んで、針を外そうとするが、あまりの脂の乗り方に手がヌルヌルと滑る始末。
その為、ちょっとフライを外すのに手こずりましたが、なんとか魚にダメージを与える事なくリリース出来ました。
フライを外すのに、グリグリとフライを摘んでやってましたので、その後のフライはちょっと変形すらしておりました。
脂がべったりと付いたフライを今度は水で軽く洗い流した後、やはりケアする事なく次のポイントに投じて見ました。
すると・・やはり浮いてます。。
1回目の魚の時ほどぽっかりとは行かなかったが、間違いなく浮力は持続しています。
その後も3〜4つのポイントは釣り続けられました。
もちろん、そのフライを再度フロータントし直す事で、完全復活です。
これで、約30分以上ケアしなくても、釣り続けられます。。
この日は、刷毛塗りタイプ以外のサンプルもテストしましたが、刷毛に勝る物はありませんでした。
ミストタイプも中々浮力の強いものもあったのですが、手に付いた液剤が妙にベタベタして、それはちょっと不快感さえ覚えましたので、ミストタイプは今回全てNGです。
しかし、刷毛塗りタイプはすごかった。
まだテスト第1段階で決めてしまうにはあまりにも危険かも知れませんが、浮力もさることながら、その効果が驚異的に長持ちする。そしてティペットまでもフライ同様長時間長持ちする事実は、本当に驚きでした。
ひょっとしたら、フライ界に革命を起こせるのではないかとも・・と思える程すぐれものでした。
今シーズンも残り僅かですが、今年一杯テストを重ね、出来れば来年の春には皆さんに使って頂けるよう、進めて行こうと思います。
このフロータントを使った方全ての方は、その効果に驚かれると思います。
次回は9月に今年最後の鳥取釣行が決定しています。
イワナが入れ食いの季節でもありますので、フロータント1回で何匹の魚まで浮力が持続するか?など、本来のフロータントでは有り得ないテストを行ってこようと思います。
結果はまた改めて、このブログで・・・
取り分けテスト第1段階は大成功でした。