1428910 試し投げ ①

数日前に届いた新しい試作スペイロッド。 14' 2" #8/9/10
中々時間が取れずウズウズしておりましたが・・本日やっと投げに行く事が出来ました。
その結果をジーニアススペイアングラー様へ御報告です。
今回1回目の試作は2本作りました。 製作品番#1の1セットと#2の1セットです。
ティップ・2D・3Dまでは#1#2共に同じテーパーです。
テーパーは13' 9" SAERCHERの基本として作って貰いましたが最後の仕上げ方法をそれぞれに変えています。
それは、アンサンドフィニュッ(以後ASFと記す)とサンドフィニュッシュ(以後SFと記す)です。
この違いを簡単に説明すると、竿と言うのは、カーボンシートをマンドレル(鉄の芯)にロールケーキのようにクルクルと巻き付け、それが解けない様 特殊なセロテープで、クルクルとブランクに沿って巻き留めます。
そしてそのままオーブンへ入れて焼くわけです。
カーボンシートは熱を加えられた事により、一体化し、釣竿と変化します。
そして、最初に巻いた鉄芯を抜き取とり、次にカーボンシートを止めるために巻き付けていたセロテープを取るとブランクの出来上がりです。
セロテープを剥がすことでテープの跡が残ります。
そのテープの跡を残したまま商品にするのがアンサンドフィニッシュ・・アンサンド つまり磨かないと言う意味。
ブランクの表面が螺旋状にザラザラしているのがそれです。
一方、そのザラザラを研磨してツルツルにする製法がサンド・・ザラザラを磨くのでサンドフィニッシュと言うのです。
このテープの跡を取るのか取らないのかで、全く同じテーパーで製作しても出来上がりの強さが大きく変わります。
たったそれだけの事で、びっくりするくらいアクション(強さで)が違うのですから驚きです。
今回の2本は#1セットがASFで#2セットがSFで作って貰いました。
先に述べた様に、ティップ・2Dセクション・3Dセクションは同じテーパーにし、バットのみテーパーを変えました。
#1セットがスローであるが通常のテーパーのついたもので、#2セットは俗に言うストレートテーパーというものです。
ストレートテーパーといっても全く同じ太さ(正にストレート)という訳ではありません。
鉄芯はストレートでそれに巻くカーボンシートのパターンで僅かにテーパー化したものです。
その形状から非常に曲がりやすい性格上、十分な強度を持たすため、プライ数(カーボンシートの巻き回数)を増やし肉厚としています。
この2本をいつもの様に、いろいろな組み合わせで試投して、一番フィーリングの良い組み合わせを探します。
この段階で合格!と言うものは中々ありませんが、予選通過の組み合わせを叩き台とし、次なる試作を作って行くのです。
そのやり取りを何回繰り返して出来あがるかは、全くわかりません。
と言うのは、いじった所が良くなっても、それがために違うところに問題が出てくる可能性があるからです。
要はどの辺で妥協するか・・と言う事ですが、それが出来ない私は、以前リリースし、現在も定番商品として販売していますSIR-GREENのボツになった試作ブランクが山の様に工房の一部を占領しております。
今回もそのブランクの山に新たに数本のボツブランクが増える事は間違いないでしょう。。
と・・いろんな事を考えながらの本日漸く試投に行った来ました。
チョイスしたラインは、3M社のアトランティックサーモンSH9/10 38gとCND GPS9/10です。
今回の目的は伝統的スペイアクション。
まあ〜この伝統ってやつは、あくまでも私が思う伝統的アクションって事ですので、悪しからず。
バットまでスムーズな曲がりを感じながら、しかもティップの返りの速いもの。
大魚をいなすが如く、ロッド全体が綺麗な弧を描きその動きに追従するもの。
よく曲がる・・けど弱さを全く感じない・・そしていたって実践的・・・
こんなロッドが出来れば・・と思ってます。
さて、試投場においての事です。
投げる前は#2ストレートテーパーのバットの方が理想では?と思っていました。
しかし実際にラインを通してみると ん???なんか違う・・・思った程バットが仕事しないではないか!
そう、強度を持たすための厚巻ブランクは、厚さがあり過ぎる為か、突っ張り感が勝ってしまうのでした。
カーボンの巻き数を減らせば、突っ張り感は軽減されるが、弱いものとなり、折れ易い等のトラブルも出てくるだろう。
第1段階としてのこのバットは言うまでもなく”ボツ”でありました。。
次なるは#1セットで採用しているスローテーパーバットである。
投げてみてびっくり!これは気持ちいい・・
実際に曲がっているかどうか分からないが、グリップを持つ手に、程よく気持ちいい曲がり感が伝わってくる。
まるで、踏み込むほどに効き味が伝わってくる、高性能なブレーキを掛けている様なフィーリングが上手(うわて)に伝わってくるではないか!
明らかに#2バットとは格段に違った。間違いなく予選通過は#1バットである事は言うまでも無かった。
バットの違いを除けば、ASFかSFかの違いであるから合格バットに相性の良い組み合わせを探すだけ。
#1ティップ+#1セカンド+#2サード+#1バットと考えられる組み合わせを、片っ端からテストしてみた。
結論は、オール#1がラインの飛距離やループ形状、そして生理的フィーリングが一番良かった。
しかし、気持ちティップと2Dセクションを強くすると、そのモーメントが3Dセクションとバットセクションに掛かってくる。そうなるともっと理想のアクションになるだろうと直感した。
念の為、持参したセロテープをティップ先端約25cmに3重ほど巻いてみた所、明らかに良くなった。
ティップが強くなった分、2Dの弱いところが顔を出し始めたので、2Dにもティップ同様セロテープを巻いてみた。
私の得意なセロテープ大作戦である・・!
やはり狙いは的中。
これで次なる試作メニューが見えた!
早々デザイナーに連絡をとり、次なるメニューを説明。
現在改めて細かな指示書をメールで送って、出来上がりを待てば良い段階。
明日にでも指示書を作って送信しよう。
デザイナー曰く
「普通の人はそこまで細かなこと言ってこないよ」と良く言われます。
しかし、僕は言う・・誰になんと言われようが・・
思いの丈を形にするまでは。。
しかし、自分で作れないグラファイトは、作り手との意思の疎通が極めて難しい・・・
それは、僕にとってはサクラマスを釣るより数十倍難しい・・かもしれない。。
次回にご期待