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2020-05

『フライフィッシングへの熱き思い』

第2章『ハイスピード・ハイラインとフライフィッシング』

第1章ではHS/HLの本来の意味について触れてまいりました。
この章では実際フライフィッシングにおいてHS/HLがどの様に関わっているのかを出来るだけ分かりやすく解説していきたいと思います。
HS/HLとはフライフィッシングにおいて、合理的かつ正確に狙ったポイントにフライをアプローチするための重要なキャスティングテクニックの事ですが、やはりポイントにフライを的確にアプローチする技術は必要なものです。
そのレベルは人によって違うものですが、その人はその人なりに、自身の技術を進化させフィールドで不自由の無いキャスティングを目指す事は、多くの方達が望む事でしょう。
では、このキャスティングの技術を上げるとは一体どんな事を指すもので、意味するのでしょうか? そのあたりを考えて行く事に致しましょう。

真っ直ぐに振り下ろされたロッドからは真っ直ぐなラインが飛んでいきます。こんな事今更言うまでも無い事ですが、大変重要なテクニックですので必ず覚えておいてください。
真っ直ぐ振るということは、ロッドティップを真っ直ぐ起動させると言う事です。
では、ここで皆さんに質問です。 大きな画用紙にマジックで定規等は使わず、出来るだけ正確な直線を描きなさいと言われた時、一体何センチの直線を描くでしょう?
当然、長い線を描くより短く描いた方が、間違いなく正確な直線を描けますよね!
まれに長い距離を真っ直ぐに描く方が居ますが、あくまでもまれにです。
ロッドを振る時も同じです。 アークは出来るだけ小さく振る方が、より正確に真っ直ぐに振れるわけです。

ロッドを振ることは、長い棒の端を持って振っているのと同じ事です。この長い棒を斜めに持ち構え、脇を開いて前後に振った場合、真っ直ぐ振れると思うでしょうか?  誰が考えても、脇を閉め、腕は出来るだけ体から離さないように体の前で振るほうが、真っ直ぐ振れると想像が付く事でしょう。

これをショートストロークキャストと呼びます。

ロッドを振る距離を短くすることで、ロッドティップの移動範囲も短くなります。 これはラインの放出を正確に行なえる他、前後でのティップの静止高度が高い事になりますので、ラインは何時も高い位置を往復いたします。
正確な発射方向と高い高度を保たれたループはフィールドにおいても多大な効果を発揮いたします。

ではどの様に振れば正確にキャストできるのか?
それにはキャスティングの基本3原則をしっかり理解する事から始まります。
それを理解する事でHS/HLの成り立ちや、ひいてはフライフィッシングにどう活用しているのかが見えてくるからです。

基本3原則とは・・
○ バックループは投げたい方向と正反対に真っ直ぐ作る事
○ ロッドは真っ直ぐ振る事
○ ロッド作用中は、常にティップが加速し続けている事
この3つの項目を正確に、しかも忠実に守る事ができれば、どの様なロッドを振ってもかまいません。これは沢田賢一郎氏の著書「フライキャスティング」でも示されています。
しかしここでは、あくまでもHS/HLをテーマに進めていますので、この3項目をHS/HLに当てはめて考えて行く事に致します。
キャスティング技術の中に、サイドキャスや、バックハンドキャスト、またホールと言うテクニックがありますが、これらはあくまでもバリエーションの1つです。この基本があって細かなテクニックが補足されていくとご理解頂いた上で読進めてください。

まず「バックループは投げたい方向と正反対に真っ直ぐ作る事」です。
簡単に言うと、ロッドを中心とし、前後に真っ直ぐのループを作らなければいけないという事です。 オーバーヘッドキャストはスペイキャスティングのように急な角度変換は出来ません。 目的の方向に良い状態でキャストするにはその反対側も良い状態にする必要があるということです。ラインを真っ直ぐ投げる事は、ロッドを真っ直ぐ振らなければ実現できませんので、次の項目に大きく関連しています。


続いて「ロッドは真っ直ぐ振ること」ですが、出来るだけショートストロークで振ることでロッドティップをより直線的に作用させる事が出来ると言うことです。 しかし、ただ小さく振ればいいという単純なものではありません。
短い距離でロッドに大きな仕事をさせなければいけないわけですので、それなりに訓練が必要となります。


最後は、「ロッド作用中は、常にティップが加速し続けている事」です。
ロッドを振るとき、絶対に急加速はNGですと伝えられています。
それは多くの方がロッドの振り始めに力で振ろうとする現象を抑えることからの発言です。理想的なキャスティングは、常に滑らかな加速が必要で、力を入れたから得られるものではありません。
しかしHS/HLテクニックでは、それが可能であれば、急加速であればあるほど理想です。
この文を読んで、驚かれた方も多いと思います。しかしよく考えてください。
ショートストロークという小さな範囲でロッドに最大の仕事をさせるわけですから、悠長にゆっくりスタートなんてしていられないでしょう!

面白い例を1つ。
カーレースの1つで、ゼロヨンって競技ありますよね!
あれって凄く単純なレースで、スタートから400m地点まで如何に早く走る事のできるかをタイムで競い合うあれです。
皆さん実際に観た事あります・・? 
スタートランプが点灯するとエンジン全開でクラッチを繋ぎ、まるでミサイルが発射されたかのような勢いでマシンがぶっ飛んで行くんですよ! 
このレースはたった400mしか距離が無いから、出来るだけスタート地点でマシンスペックの一番いいところをスタートと同時に使って走りたいわけですよね! だからこそ目にも止まらぬ急発進を心がけるんです。

このメカニズム・・HS/HLのショートストロークも同じなんです。
ロッドを振り始めと同時にロッドには、出来るだけ大きなパワーを蓄えたい。徐々にではなく、出来れば“いきなり”パワーを蓄えたいのです。
振り始めから大きく作用させたロッドは、そのラインを放出するのに比例したエネルギーが瞬時に蓄えられることになります。 ラインを放出するに十分なエネルギーを蓄えられたロッドは長い時間振る必要が無いわけで、全てが短時間で終了いたします。
これを上手に実現するには、リストの使い方が実に重要となってきます。
リストを上手に使う事のより、腕の動きより遥かに早いスピードでロッドティップが移動する事になり、理想的な加速が得られる事となります。
一見して実に窮屈でしんどいと思われがちですが(実際窮屈でしんどいですが・・)短時間で投げ終われるため、ほんの僅かな力で理想的なループを展開できるのです。


巷ではよく、こんな事が言われます。
「楽な姿勢でキャスティングしたほうが疲れないと・・」
本来キャスティングは狙ったポイントにフライを投げるだけの行為です。
人に見せるものではありません。
ポイントの前に立ったとき、しつこい程フォルスキャストを繰り返して投げてたんじゃあ幾ら“ラフ”なフォームでも疲れてしまいます。
短い時間でループを形成し、多くても3回以内でポイントに投げられれば、疲れる事など皆無ですし、無駄な時間を費やさなくてもいいわけですので、その分、釣りに集中できます。

非常に良くできたメカニズムで形成されているHS/HLテクニックですが、残念ながらどんなロッドでも成り立つわけではありません。
ゆっくり振り始めて徐々にロッドを曲げていかなければ作用しないティップアクションや曲がったロッドが中々復元しないバットアクションのロッドではこのキャスティングは不可能です。
理想的な急加速を出来ればしたいわけですので、その過酷とも言える作用に追従してくれるアクションが当然必要となってきます。
古くはペゾン・エ・ミッシェル、近年ではジーニアスロッドがHS/HLの可能なロッドとしてその役目を担っております。

釣と言う背景を考えた時、まずポイントに正確にしかも安全にフライをプレゼンテーションする事から始まります。 この行為を無視したり、邪険にする事はフライフィッシングの本来の求めなければいけない志向を失っているとも思うのです。

HS/HLは決して古いテクニックでも遠投用でもありません。
釣り場において、理想的なキャスティングを考えた時、そのフィールドに取り巻く障害となる環境を、無駄の無い動きから容易にクリアしたいがために考案されたテクニックです。

この文を読んで頂いた皆様の中で、HS/HLを一人でも多くの方にご理解頂ければ幸いです。

つづく


告知:ビギナーズマムさん主催のバンブーロッド試し振り会inなごみの湖
    今年も参加させて頂きます。
詳細はこちらhttp://geniusrod.blog118.fc2.com/blog-entry-119.html 



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