FC2ブログ

2020-09

奥ゆかしきかなHS/HL(ハイスピード・ハイライン)

hs,hl3
達人の風格・・・ たった1枚の写真からでもその凄さが伝わってくる


「ショートストロークキャスティングへの勘違い」

HS/HL(ハイスピード・ハイライン)はショートストロークキャストと表現をするが、ショートストロークキャスティングはHS/HLにあらず・・

多くの方々にHS/HLを語る上で、先ずはここからだろうと思います。
殆どの方が、HS/HLを勘違いされています。 
事実キャスティングを指導されている方達もショートストロークキャストがHS/HLだと思い込んでいる方、結構いるんです。

実はこの勘違いがHS/HLの解釈を困難にしています。

HS/HLは最小の力で最大の効果を狙ったテクニックです。
小さなモーションで必要なパワーをラインに伝えるには、絶妙な力加減が要求される大変高度なテクニックですが、身体の動きを小さくまとめたこの行為は、事実上ショートストロークと言う事になります。
しかしだからと言ってショートストロークがHS/HLかと言うと決してそうでは有りません。
何故なら、ショートストロークは、単純にどんな形でも小さくロッドを振ることで完成します。それがHS/HLとは程遠いメカニズムを持っていたとしても、ショートストロークと言えばショートストロークだからです。
また、ロッドを小さく振ることで、常にロッドティップに高度があることと、どうしても前後にロッドを早く振ることになるため、高いラインが放出していると勘違いを起こしやすいのもこのショートストロークキャストの大きな落とし穴です。

予断ですが、ループヘッドは高い位置を飛んでいても、自分を通過するフライが低い位置を飛んでいては、何の意味も無い言う事で、この事実に気が付かない著名人たち沢山います。。     予断ですが・・・

最近のロッドは(グラファイトに限り)良く出来ていて、15ヤード位のラインでは、そんなにロッドを大きく振らなくてもキチンとループを作れます。逆に小さく振らないと綺麗なループが作れないと言っても過言では無いでしょう。 だからよく「今の道具でキャスティングをすれば皆、HS/HLで投げている事になる」なんて馬鹿げたことを言う奴も現実に存在いたします。
これは、ロッドが曲がらない硬い物であるから大きく振る必要が無いだけのことで、その証拠にラインが長くなっていくと、その重量が増えるため、それにあわせたロッドの振り幅が必要となるわけでしょ!
つまり実際ショートストロークで振れているラインはたかが知れた長さと言う事です。

一方HS/HLは、コンパクトな移動範囲で大きくロッドを曲げると言うメカニズムですが、ラインを長く出していったところで、その振り幅に大きな違いが無いのが特徴です。
ライン重量が小さい時は、よりコンパクトな振り幅で小さくロッドを曲げて、その重量が加算されてくれば、そのコンパクトな中で大きくロッドを曲げると言う、とても合理的なメカニズムを持っています。
小さく振る理由は、釣り場で最も大切な、「正確にキャストする」定義から、大きくロッドを動かしてわざわざ「正確に振ること」を犠牲にする考えは持ち合わせていないからです。
小さく振ることが“絶対定義”から組み上げられた極意は、単に短くロッドを振ったから出来上がると言う、安っぽいメカニズムでは決して無いのです。

つまり釣り場でフライを投げ込む時の理想を追求していくとHS/HLに辿り着く・・と言う事です。
hs,hl2
HS/HL投法の真髄・・ ロッドティップの遥か上をフライが飛んでいく。


「HS/HL(ハイスピード・ハイライン)を習得する理由」

何故にこれほどまでにHS/HLを強く紹介したいのかと言いますと、それは最終目的が“釣り”であって、グラウンドのキャスティングではないからです。
釣り場において、誰でもが上手にポイントに、しかも出来れば一回でキャストしたいと願っているはずです。
当然放出するラインは、高度がある方がいいし、ラインスピードも出来るだけ早い方がフライも良く乾く・・
この条件は、正に現場で釣りをする時に、“出来れば良い”テクニックであることは誰でもが理解して頂けるのではないだろうか。

正確にキャストするには、コンパクトに振ることで、目標としたポイントに一直線に飛んで行くと同時に、前後に振られたロッドティップは、常に高い位置で止まるため、放出されるラインは単純に考えても高い位置から飛ぶ事になります。
この小さく振る行為にハイライン投法が加わったのが、HS/HLキャスティングと考えてください。
前後にハイラインで投げるには、例えばフォワードキャストの場合、ロッドのスタートと同時にロッドティップを持ち上げていかないと完成いたしません。
その行為は小さな振り幅でも大きくロッドを曲げる事が出来、大きく曲がったロッドは復元するにも早く大きな力を備わっている訳ですから、結果高度とスピードのあるラインが放出されると言う事で、正に“出来れば良い”が具体化する極上のテクニックと言えるのです。

先にHS/HLとは最終目的が釣りをするためで、グラウンドでキャスティングをする為ではないと伝えました。だからこのHS/HLは、ループヘッド形状がどうだとか、狭いループがどうだとか、どれだけ飛んだとか、決して見てくれのテクニックでは無い事もお伝えしておきたい。勿論ループの形や、ループのスピード、右に作るかはたまた左か・・実際のフィールドでは大切な事であるのは間違いないが、それはポイントを攻略するためのバリエーションに過ぎず、それらがメイン看板となるテクニックではないと言う事です。

ループ幅を例にとって話しましょう。
ループは狭い方が何かと良い場合はあります。しかし過度の狭さを求めても結果トラブルを呼ぶことに成るし、ベリーの上をライン先端やフライが通過するHS/HL投法は、いくら狭くしたところで限界がある事も事実です。
しかしそのループには面構成がキチンと出来ている事もあり、たとえ世間的に狭くないループだとしても、結果的に空気抵抗が少なく正確にポイントにキャスト出来るはずです。
釣りをするにおいて、最低限のメカニズムで飛ばしてやる事が最も大切で、「どや!ループ狭くて綺麗やろ」と見せたところで何の役にも立たないと言う事です。
大体いくら綺麗なループで飛ばせても、自分を通過するフライが低い位置を飛んでいては、その綺麗さも台無しです。例え40メートル飛ぶメカニズムでも、その前に後ろでフライが引っ掛かけていては、しょうがないと言う事です。

こんな光景をよく目に致します。
ロッドを振り終わった後、そのキャスターの肩辺りに、一瞬キラリと光る長い影・・
指導者と言われる方々にも見られるこの光景・・ 実はリーダーが自分の側面を通っているんです!
これはDVDやビデオ等に撮影するとよく分かりますので、是非試してください。 
利き腕側からのアングルで、腰から頭上40センチ辺りまでで結構です。つまり自分自身を横からアップで撮影してみてください。 そして、ラインの長さはおおよそ15ヤードあたりでキャスティング撮影してみてください。
その画面の中にリーダーの光る物が写っていなければ、貴方のライン高度は頭より高いと言うことです。
そして徐々にラインを長く伸ばして同じ事をしてみてください。
ハイラインテクニックを使わない限り、必ず何処かでリーダーが画面に映るはずです。

分かりますでしょ!何が言いたいか・・

実際にはラインの先にフライが付く訳ですから・・・

騙されたと思って、沢田賢一郎さんのキャスティングビデオをご覧ください。
氏がアップでロッドを振っているシーンの何処にもラインなんて移っていないですから。
見ている方は、まるでラインを振ってないのではないか?と錯覚を起こすくらい何も写っていない。
正にあれがフライキャスティングと言うものでしょう!


では、何故リーダーが写ってしまうのでしょう?
実に簡単な話です。
フォワードキャストに入る時、開かれたリストを閉じる行為で初めてロッドティップ先端の高度が上がります。つまりロッドティップは、リストを閉じる事により持ち上がっていくと言う事ですね!
そのリストの閉じるタイミングが遅ければ遅いほど、ロッドティップ先端が持ち上がっていく行為が遅くなりますから、当然ラインも浮き上がってくるのが遅くなります。勿論その後ろに付属するリーダーやフライは、もっと遅くなります。 「急加速は厳禁ですよ!リストは一番最後に使いましょう」と教える仕組みほどこの傾向が強く、最後に閉じられるリストで急にティップ先端が持ち上がるため、それまでの低い高度で引っ張られていたラインが、リストダウンにより上昇し始めます。つまりリストダウンと言う行為があって初めてラインが持ち上がって行くということですので、そのリストダウンを一番最後にしている限り、フライが高い所を飛ぶ訳が無い。

そう言うキャストは、ライン軌道が低すぎるためにロッドティップにラインが当ります。
それ故に決してロッドを垂直に立てて振ることは出来ないことから、少し利き腕側に逃がすようにと教える始末。

ロッドの側面にラインを通し、その殆どが水平移動で構成されたメカニズムは、クロスループと言われる形状で飛んでいきます。
それを横から見せられている生徒は、芸術とも言えるナローループに驚き、自分もあんなキャスターになりたいと夢を見る。しかし冷静に考えれば、自分の肩辺りを通過しているラインは、後方ではもっと低いところを飛んでいる事ぐらいその時気付かなくても、言われれば馬鹿でも気付くはず。。
私のような大馬鹿が気付いているのだから・・・
たかが15ヤードくらいの短いラインで自分の肩の位置を通過するのだから、ラインがもっと沢山出ると更に低い位置を通過する事になることも容易に想像は付く事でしょう。

そんなキャストが、本当に釣る場で有効なのであろうか?????
「フライキャスティング」は、読んで字のごとく、「フライをキャストする」わけで、これじゃ「フライラインキャスティング」です。

なんで私が強くこの事を書けるかと言うと、数年前までの私がそうだったからです。
トーナメントキャスターがバンブロッドビルダーに・・と、キャスティングが出来るビルダーとして売り出した私は、そのテクニックの余すところなく披露していました。
その得意げな時代は実に5年も続き、いよいよジーニアスロッドが正に革新期を迎えようとしていたとき、数名の達人達と知り合うことが出来ました。 その達人は秋田と愛知にいました。
ある日の事、秋田の達人の愛弟子N氏と何時ものように電話で話をしているときのことでした。
私が自慢げに自信のHPにて披露している動画を見て「ライン下がってるよね!」と予想だにもしない言葉を投げかけられたのです。 私はその時の事、今でもはっきりと覚えていますが、私にもプライドがありましたから、聞き捨てならんとばかりにN氏に食って掛ったのです。

それから1年ほど経って、私が目標としている達人から、私のキャスティングの無意味さを説明された時、以前「ライン下がってる」と言ったN氏の意味が理解できた。
つまり、キャスティングは何のためにするべきか・・と言う根本を分かっていなかったのです。
それ以来、HS/HLの極意を身に付けるため、幾度となく岡崎の達人のところに通い、その勉強は今現在でも続いています。

hs,hl1
魚を釣る上で、ポイントから離れる利点は沢山有るが、正確に投げるのが難しくなる

「気付かずに来た25年」

とは言うものの、今までは全く釣りに成らなかったのか・・・?
決してそうではありません。 私のフライ暦はもう30年を超えています。
このHS/HLを習得し実際に釣りをしている期間は僅か5年、25年もの長い歳月を苦労していたのかと言うと、そうでもなかった。

私の長いフライ人生の殆どは、渓流釣りでした。
技術と知識の向上に伴い、Wハンドでサクラマスを狙ったり、湖で遠投をして釣ったりと色々しているが、やはり渓流釣が面白く今もなお続いています。

HS/HLを習得して最初に感じたのは、ポイントとの距離であった。
今までよりはるかに遠くから釣れる様に成った事で、HS/HLの本当の意味が分かったのです。 
それまでの私は、比較的正確にフライをポイントに投げれていた事と、そんなに障害物に引っ掛けてない事から自分は十分ベテランフライマンどた思っていた。
しかしそうではなかった。
それはポイントとの距離があまりにも近すぎたため、正確に投げていると錯覚を起こしていただけだった。
例えればこう言う事である。丸めたティッシュを“ポィ”とゴミ箱に投げ入れる時、近ければ命中率が高くなるが、離れてみればたちまち命中率は下がるでしょ。
周りに引っ掛けないのも同じ事、落下しようの無い長さでどんな振り方をしても、ラインが短ければ引っ掛かる事もあまり無いと言う事です。

釣りはあくまでも魚を釣ることです。
当たり前ですが、その魚の住処から離れれば離れているほど自分の存在は悟られにくいものです。勿論物事には何でも限度と言う物がありますが、とは言うものの、5mよりも10m、10mよりも15m、15mよりも20mで釣れるのであればやはり遠くからの方が釣れるものです。
世の中にはストーキングというテクニックがありますが、仕方なくポイントに近付かないと釣れない時は、本当に仕方なくする場合もありますが、常では無いし、それが常となった時は、フライフィッシングとはとても言いがたい行為と思うのは私だけだろうか・・?
どれだけ近寄れるかではなく、どれだけ離れられるかを考えて釣った方が、フライフィッシングが楽しいと思うし、それがフライフィッシングと言う物であると実感出来るはずです。
遠くからラインで投げて釣る姿は、例え釣りを知らない人が見ても「なんて綺麗な釣り方」と思うはずです。 
正にその瞬間が、フライフィッシングの最も美しい姿で、格好良い姿です。
しかも多数ある釣り方の中でそんな釣りができるのもフライフィッシングだけでしょ!

今となっては、本当N氏に感謝です。
そして無意味な理由を、身を持って教えて頂いた、秋田の達人に感謝です。
そして、そしてこの素晴らしい技術を私に伝授くださった愛知の達人に感謝です。
こんな素晴らしいテクニックが、およそ30年前に沢田賢一郎さんによって、確立されていた事、今更ながらに沢田さんの凄さに心打たれております。
当時沢田さんの側近達が(路線を外した方達は例外です)今や達人の域に入られ、世間の流行に一切ぶれる事無く、このスタイルを貫いている意味も分かった。
今の技術や知識でもう一度当時の沢田さんの本を読み返すと、「何だちゃんと書いてあるじゃない」と言うシーンがどれほど多いか・・
こんなに素敵なテクニックが、数名の達人達だけで継承されているのは実に寂しい限りです。


私自身このHS/HLを学んだお蔭で、どれほどまでに自信のフライフィッシングに対する考え方が変わったことか・・
外面ばかり見ていた今までと違って、内側からフライフィッシングって言う物を探求することが出来たし、その本質を知ることも出来た。
決して魚に媚びないフライや、独り善がりにならない釣り方を、二人の達人が教えてくれたし、HS/HLがその考えを前進させてくれた。

この素晴らしいテクニックを、自分ひとりが抱え込んでいてもつまらない。
より多くの方に、伝えて行くことで、それを習得した者全ての人がフライフィッシングの本質をより明確に理解し、それを楽しさに変えてくれることを願っています。
フライフィッシングは美しいものです。だから美しく釣らないと駄目なんです。

もう一度言います。
HS/HLは釣りをするための最終目的であり、その目的が決してキャスティングであってはならないと・・・・

***お知らせ**************************************
キャスティングレッスン開講
詳しくはhttp://www.genius-rod.com/001/lesson3/lessonnara.html





まさか・・私のところに!!! «  | BLOG TOP |  » Master-PaPa Next Edition その5

プロフィール

GENIUS ROD MAKER

Author:GENIUS ROD MAKER
このブログは、ジーニアスロッドメーカーの正式サイトです。

カテゴリー

リンク

このブログをリンクに追加する

月別アーカイブ