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2019-07

Development story第5話『Silence Mob』

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サマードラゴンとスキューズは、発売以来そのポテンシャルの高さに皆を圧倒させた。
バンブーロッドで6番と言うタックルは存在するものの、殆どの日本のビルダーは、ライトラインが主体と成り、6番以上のタックルは作ってはいなかった。ここで言う「作ってはいなかった」とは、それをメインに売り出していないと言うことで、注文を受ければ何でも作ります的スタイルは度外視して頂きたい。
そのことからして、ミドル番手以上を最も得意として世の中にアピールしているのは、正に私ぐらいのもので、数少ないとは言え興味のある方には、高い評価を得たのであった。
私は6番が完成した次は、ウエットフライ用の7番と・・サマードラゴンやスキューズが出来上がった当初から決めていた。
6番で8フィートを超えているにも拘らず、これほどまでにバランスが良く、軽く感じる物が作れるのなら、もう少し長い7番もきっと作れるはずと踏んでいたからである。

今回も当然、今まで同様数本の組み合わせから、欲しいアクションを捻出することにした。
ただ今回は、コンセプトがはっきりしていることもあり、そのコンセプトに当てはまる最も適したアクションが探し出せればこの手法は更に進歩したことになる。

数本のパターンから一組のアクションが、今回のコンセプトにかなり近いものが有った。
その組み合わせは、ゆったりとしたリズムではあるが、驚くほど勢いのあるラインが生まれた。
狙い通りと言えば、そうであったが、6番のロッドを無理に7番で振っているような感覚も若干あり、「これだ!」と決定付けるものではなかった。
ただ・・・ただである。  このアクションのまま全体に強くなれば、正にコンセプト通りとそのとき直感した。

そこで私は、採用するテーパー比率をそのままにし、削り寸法を少し増やしたものを作ってみた。
この手法は、いずれ何処かで試したかったこともあり、丁度良かったのであった。
と言うのは、基本テーパーがしっかりしていると、その数値を100分の何ミリ太らす、また痩せさせる・・と、単純な計算で成立するはずと考えていたからである。

まずティップは、数値を一切変えず、カット位置で調整したものを1本用意した。そしてバットは、基本テーパーを僅かに太くし、前回と同じ場所でカットしたものを1本、そして念の為それより数センチ後ろでカットしたもの1本の計2本を用意して検証してみることにした。

結果は、実に良好であった。 思い通り、そのまま太らせたテーパーの物は、前回のフィーリングのまま少し強くなっていた。これなら7番で振れる。誰が振っても7番に納得するパワーであった。一方もう1つのバットは、先ほどの物より明らかに強くそのパワーも絶大でどちらも甲乙付けがたいアクションであった。

私は、迷いに迷って結論を出した。 

答えは軟らかい方のバットを採用したのであった。
理由は幾つかあった。 まずティップとの相性が若干良かったこと。ラインをロードしていく時の感触が良かったこと。スローアクションにも拘らず、非常に軽く感じたこと、そしてラインが矢の様に飛んでいくこと等、7番のウエットロッドとしては非常に面白いロッドが完成したのであった。

このウルトラスローアクションのロッドを、」Silence Mob(サイレンスモブ)8’ 7” #7 と命名した。
非常にしなやかなアクションはラインを通さず振ると、グリップから曲がる独特のアクションである。しかしそのしなやかなロッドが、ラインを通して一振りすると、正に水を得た魚のようであった。
放たれるラインスピードは異常で、このしなやかさからはとても想像することの出来ない力強いループを展開し、意とも簡単に7番ラインを全部投げてしまうのであった。
その様は、静かに躍動するイメージにピッタリであった。
静かに躍動すると言うミスマッチが何とも訴えかけているように思えた。

Silence Mob(サイレンスモブ)8’ 7” #7の誕生であった。

このSilence Mob(サイレンスモブ)8’ 7” #7・・フィールドでも実に具合が良かった、スイングが終了した比較的長いラインを、一気に抜き上げ、打ち返すことが非常に容易に出来、そのしなやかさは魚のストライクを見逃すことも無かった。
7番ラインで、使用フライも#4をドロッパーに、#6をリードフライとしても全く違和感無くキャスト出来る。正にバンブーロッドならではのトルクのあるアクションに仕上がっていた。
フィールドの規模や、使用フライの大きさ等で、スキューズとサイレンスモブの使い分けが理想であろう。
このサイレンスモブの誕生により、また私のバンブーロッドを使用できるウエットフライフィールドが広がったのであった。

そしてこのサイレンスモブの誕生は、サマードラゴンやスキューズを完成したときの、それまでの手法から、欲しいスペックが大体であるが作れることが分かった。と同時に、この事実は私にとって大きな進歩であった。


次回はライトライン誕生への開発秘話・・・へ続く

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